だいぶ沈静化しつつあるものの、未だに Web 2.0 なんて怪しいキーワードがもてはやされてる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。今更 Web 2.0 とは何ぞや、なんて話を書くつもりはないんだけど、一応、記事を書く土台として Web 2.0 っぽいキーワードを幾つか拾ってみましたー。
・マッシュアップ
異なるコンテンツや技術が混合されて、新しいコンテンツ・技術が創造されること。
・CGM (Consumer Generated Media)
消費者自身が生み出すメディアやコンテンツ。およびそのコミュニティ。
・ロングテール
ニッチ製品の販売額の合計が非常に高いこと。
作為的なキーワードの拾い方ではあるけど、同人に関わってる人間からすると「Web 2.0 イコール 同人」にしか思えなくなってくる。さらに「双方向コミュニケーション」とか「チープ革命」とかのキーワードを付け加えると余計にそう思えてくるよね。ええ、どう見ても同人脳です。本当にありがとうございました。
さてさて。Web 2.0 と同人活動・同人コミュニティは、その概念において非常に距離が近いように思えるんだけど、別にこれは偶然でもこじつけでもなんでもない。そもそも Web 2.0 なんて、高度情報化社会に見られる様々な現象を表現した言葉でしかないんだから、たとえインターネットの外であっても情報やコンテンツを扱うコミュニティなら同様の現象が起きていても当然と言えるんじゃないかな。
つまり、同人の世界はとっくの昔に Web 2.0 の概念を内包していた、ということになるよね。そうなると、コミュニティの構造の本質の変化は、ここ数年では微々たるもののはず、なんだけど実は最近大きなパラダイムシフトがあったのでした。ただし、その変化が起きた場所は、同人のメインの分野である(マンガ)同人誌ではなく、同人ゲームという、ある意味辺境の地だったり。
2000 年以降、同人ゲーム界隈では「月姫」「東方 Project」「ひぐらしのなく頃に」などのオリジナル同人作品の二次創作の隆盛という現象が起きてるのは知っての通りかと。これを Web 2.0 的に言い直すと、それまでの同人誌・同人ゲームの主流であった商業作品の二次創作では「マッシュアップ」に留まっていたのが、上記の同人ゲームを中心とするコミュニティにおいてはオリジナルの元ネタから二次創作までをカバーすることができる「完全な CGM」を実現してしまった、ということになる。むしろ、CGM という言葉は Consumer という単語から「生産者対消費者」という図式を感じさせるので SGM (Self Generated Media) と言い換えたほうがいいかもしれない。あるいは、これこそが「電波男」で本田透氏が主張していた「ほんだシステム」なのかもしれない。まあ、めんどくさいので CGM のままで話を進めるけどね。
この、二次創作の元ネタすらも自ら生成してしまう CGM コミュニティが同人誌ではなく同人ゲームの世界で発生した理由について推測してみる。考えられるところとしては、同人誌だと紙媒体なのでテクノロジーの進化やチープ革命の恩恵を受けにくい、コミュニティの構成要員(コミケのサークル参加者や一般参加者)にインターネットのユーザが比較的多かった、同人誌のコミュニティほど成熟していなかったので変化を受け入れやすかった、西ホールの人たちが葉鍵系に飽きはじめていて目先の面白そうなものに飛びついた、とかいろいろあるけど、実は単なる偶然だったという気がする。
まあ、ジャンルや要因はともかくとして。
同人の世界では、企業からの一方的な情報・コンテンツの供給を必要としないコミュニティを作ってしまったのでした。
これはまさに Web 2.0 の先にあるはずの世界じゃないかな?
今後は、同人誌でも多数のオリジナル作品が発表されるようになって、そのオリジナル作品の二次創作やオリジナルの作者とのコラボレーションも活発に行われるようになる……かどうかはまだわからないけど、そういった「同人的永遠の理想郷」は案外遠くないところにあるのかも。

